Search

プライバシーサンドボックス のテストプログラム、エージェンシー各社が提案へ - DIGIDAY[日本版]

記事のポイント
  • GoogleのChromeチームとグループエムが共同で「ポストCookie準備プログラム」を発表し、プライバシーサンドボックス内でAPIのテストを行う。
  • DSPなど一部のアドテクプロバイダーがサードパーティCookieに依存する機能を撤廃するため、広告キャンペーンを洗練させるためのユーザーデータが、(現状と比べ)大幅に減少する見込み。
  • ファーストパーティデータには膨大なリスクが伴うため、プライバシーとアイデンティティ、識別子を管理する統合的フレームワークが欠かせない。

2024年1月、デジタル広告エコシステムにおけるビジネスの歴史上、もっとも不安をかき立てる展開が本格的にスタートした。GoogleがChromeブラウザからのサードパーティCookieの廃止に着手し始めたのだ。

確かに、AppleのSafariやMozillaのFirefoxなど、競合するWebブラウザは何年も前にこの決断に踏み切った。だが、スタットカウンター(Statcounter)によれば63%という、Chromeの世界市場シェアは圧倒的であり、だからこそGoogleの動きは、たとえ後追いであっても、間違いなく市場の動向を決定づける。

このほど、GoogleのChromeチームがごく一部のユーザー(2024年第1四半期に関しては1%)に対して、サードパーティCookieを無効化した。一方で、メディアバイヤーたちはWPP傘下のグループエム(GroupM)がこの機に乗じてGoogleとのタイアップを発表したことに安堵している。

Chromeチームとの共同イニシアチブ

この動きは、2社による「ポストCookie準備プログラム」の体裁をとっている。Chromeチームとの共同イニシアチブとして、Googleのプライバシーサンドボックス内でAPIのテストを行うもので、グループエムによれば「業界初」のスキームであるという。

グループエムのグローバルCEOを務めるクリスチャン・ユール氏は、このイニシアチブについて「クライアントが現状の準備状況をテストし、必要とあれば我々が新たなアプローチを開発することを可能にするものである」と、プログラムを発表するプレスリリースで説明した。

プレスリリースによれば、Googleとグループエムは「統合フレームワーク」を設計し、広告主やアドテクパートナーとの協働によってプライバシー技術への理解を深め、英国の競争・市場庁(事実上Googleのプライバシーサンドボックス計画を世界規模で規制する当局)のガイドラインを順守するという。

具体的な方法としては、「少数のクライアント」(グループエムは参加するブランドの数や社名を明かさなかった)と提携してプライバシーサンドボックスのAPIをテストし、キャンペーンの効率化のための改良を行うとしている。

新時代への移行

グループエムのエージェンシーであるエッセンスメディアコム(EssenceMediacom)でグローバル最高データおよび技術責任者を務めるリチャード・ムーニー氏は、このプログラムへの参加はプライバシーサンドボックスのAPIに直接影響を与えるチャンスである、と説明する。GoogleのChromeチームがプランの改良を念頭に置いているからだ。

「検討されてきた仮説を実際に検証し、広く利用できる形で提供する絶好の機会だ」と、ムーニー氏はジャーナリストとのブリーフィングセッションで語り、「彼ら(参加するクライアント)は匿名化された結果を集計して、全体としてのパフォーマンスから知見を得ることもできる」と話した。また、「基本的に、このプログラムは過去数年間で我々が学び理解したすべてのことを実際の環境に適用し、広告主がマーケティングの効率への影響を正しく理解できるようにするものだ」と述べた。

2社のプレスリリースによれば、すべてのテストは既存のメディアプランと予算の範囲内で行われ、クライアントに追加投資の必要はないという。

メディアモンクス(Media.Monks)の機械学習・AIソリューション担当シニアディレクターであるマイケル・ヌヴー氏は、これとは別のDIGIDAYの取材に応じ、自社でも同様にプライバシーサンドボックスの新時代への移行に伴って検証に取り組んでいると述べている。移行後、DSPなど一部のアドテクプロバイダーがサードパーティCookieに依存する機能を撤廃するため、広告キャンペーンを洗練させるためのユーザーデータが、(現状と比べ)大幅に減少する見込みだ。

プライバシーサンドボックス準備プログラムに参加するクライアントを獲得しようという、グループエムの取り組みが成功するか失敗するかは、同社が計画している戦略転換にとって決定的に重要なものになるだろう。同社のメディアバイイング部門では、クライアントの減少や横ばいの売上予測といった不調のなか、北米地域CEOであるカーク・マクドナルド氏が退任を控えている。

過去の先例

マッドテック(MadTech)のCEOであり、以前はグループエムに勤めていた(同社のトレーディングデスクのザクシス[Xaxis]に数年間勤務)ボブ・ワルチャック氏は、DIGIDAYの取材に対し、ファーストパーティデータの中枢管理フレームワークが決定的に重要であると述べ、同社の現在の戦略と以前の取り組みとの共通点を指摘した。

「ファーストパーティデータには膨大なリスクが伴うため、プライバシーとアイデンティティ、識別子を管理する統合的フレームワークが欠かせない」と、同氏は主張し、グループエムの最近の動き(グローバルデータ企業コレオグラフ[Choreograph]の立ち上げなど)と、ザクシスにおける自社のDMP(データ管理プラットフォーム)であるタービン(Turbine)の利用には、共通点が見られると述べた。

「ブランドの垣根を超えてデータを活用する機能を利用することは、DMPやセンターオブエクセレンスを利用して、DMPに関するすべての事柄の理解に努めることに似ている」という。

グループエムは2016年、クライアントがザクシスのプログラマティック広告購入の大幅値上げに疑問を呈したことを受け、mプラットフォーム(mPlatform)を立ち上げてサービスの刷新を図った。当時も今と同様、EUにおける一般データ保護規則(GDPR)などの法令の施行を背景に、プライバシーへの配慮が優先課題となりつつあった。

以前のDIGIDAYの取材では、mプラットフォームは当初、グループエムのアドテク総合窓口となることを目されていたが、立ち上げから3年のあいだにこうした期待はしぼみ、情報筋の証言によれば、ファーストパーティデータが他のブランドのデータと混合されていることに対してクライアントが懸念を表明するまでになっていた。

[原文:GroupM agrees to new program that lets clients experiment within Google’s Privacy Sandbox

Ronan Shields(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:島田涼平)

Adblock test (Why?)



from "プログラム" - Google ニュース https://ift.tt/R1JE7At
via IFTTT

Bagikan Berita Ini

0 Response to "プライバシーサンドボックス のテストプログラム、エージェンシー各社が提案へ - DIGIDAY[日本版]"

Post a Comment

Powered by Blogger.