経団連と大学側でつくる産学協議会は、インターンシップ(就業体験)での評価といった学生の情報を、採用選考で活用できるようにすることで先月、合意した。二〇二四(令和六)年度卒の学生から適用を目指す。大学三年夏のインターンが事実上、就職活動の開始と位置付けられる。人材の県外流出を防ぐ観点からも、県内企業はインターンのプログラムを充実させる必要がある。
現行ルールは、大学三年時の三月から会社説明会を開けるようになり、四年時の六月に面接などの選考活動を始める。内定は十月以降としている。選考活動前のインターンで得た情報は、基本的に広報活動や採用選考活動には使用できない。しかし、就職情報会社の調査では、現在の四年生の九割は三年時の昨年十一月までにインターンに参加し、選考活動開始前の四月一日時点で四割強が内定を受けていた。七割は参加した企業からで、制度は形骸化していた。
新ルールは、選考に使えるプログラムを五日間以上で、その半分以上は就業体験に充てたものに限定される。長期インターンは、主に大都市圏の企業が既に導入している。県内の学生が県外に就職先を求める傾向は依然続く。福島大では、今春の卒業生七百五十七人のうち、県内就職は35・8%、県外は64・2%だった。
選考活動が大幅に前倒しされれば、企業間の採用の動きは激しさを増し、人材獲得に向けた対策の練り直しも求められる。早まる選考活動への対応が遅れると、首都圏への流出がさらに進む可能性がある。県内には最先端の技術を持っていたり、伝統を守り続けたりしている企業も多い。その強みを一段と磨き、学生に伝える工夫をしてほしい。
県内ではインターンを実施していない中小企業も少なくない。「魅力を伝えるのに、どのような内容にすべきか分からない」といった担当者もいる。県は県内事業所と学生のインターンの仲介に取り組み、昨年度は百三十一社、延べ百十二人の学生が参加した。これまで蓄積した各社のプログラムや課題を共有できる仕組みを構築してはどうか。首都圏の学生には「オンラインなら地方企業でも参加したい」との声もあり、試してみる価値はある。
学生にとって、就職後に必要な技術や能力に早めに気付ける利点がある。大学側はミスマッチを防ぎ、離職率低下につながると評価する一方、就職活動の前倒しで学業に支障が出ると懸念する。学生自身の意識付けも大切になるだろう。(安島剛彦)
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