キャリア教育を中心に据えた高校生向けプログラムを開発
沖縄のリーディング産業として、県経済をけん引する観光産業が、今後も持続的に発展するためには、それを支える人材育成が何よりも重要である。とくに、観光産業に就いた若者の離職率の高さは、解決すべき喫緊の課題である。特に、高校や専門学校在籍時に由来する離職の理由としては、
・観光に関する学科を希望していたにもかかわらず、明確な将来のイメージを持たないまま入学しているケースが散見される。
・職業のイメージを持てないまま専門科目や資格取得に取り組むことがあり、その分学習に対する動機付けが弱くなる傾向にある。
・特に高校時代は、観光業界へのインターンシップや現場で働く社会人からの講話など、具体的な職業イメージを高める機会が少ない。
・限られた情報での進路選択によるミスマッチが発生している可能性がある。
などがあげられる。
令和4年度活動事例
高専連携プログラム開発の過程で、令和3年度のヒアリング調査などを踏まえ、プログラム開発の優先順位を変更した。
まず、ヒアリングにおいて高校の現場からは、「高専連携プログラムによって資格取得や専門的な知識・技術の向上をはかることも大切だが、キャリアビジョンの明確化により日々の学習意欲の向上をはかることを重視してほしい」という強い要望があった。そして議論を重ねる中で、以下の課題が明確になった。
・専門分野に進む生徒自体が少ない
連携している高校の観光系の学科から観光系への進学・就職が3割程度という現状
・高校と専門学校の適切な観光系の共有資格がないという課題
語学・マナー・コミュニケーションなどの資格を検討したが、生徒・学生が必要と感じ意欲的に取り組めるかには課題が残った。
・高校の通常授業と連動しないと効果が薄い
専門学校側からのアプローチが単発になると効果が薄くなる。通常の授業や指導スケジュールに連動する必要性がある。
・専門学校の得意分野である「職業教育」、「就職支援」などでのサポートへの期待
具体的には、専門学校と企業のネットワークを活用した高校生インターンシップ受入れサポートなど。
・職業理解のためには、年齢の近い社会人からのメッセージが有効
高校生に近い年齢の社会人(就職3~5年程度)から仕事についてさまざまな話を直接聞きたいという要望があった。

こうした議論を経て、プログラム開発の優先順位を変更し、「必要なことは日々の学習に積極的に向かう姿勢であり、そのために目の前の学習が自分の将来にとって必要不可欠なものである」ということに高校生が気付けるプログラムの開発から取り組むこととした。今年度導入をはかった改定プログラムの特徴は以下の通りである。
①キャリア教育を中心に据えたプログラム
専門学校や大学への進学者に限らず、高校卒業後就職する生徒も含めて職業を中心としたキャリア教育の支援を行う。
②授業が単発にならず、連動するよう心掛ける
高校の授業時間の確保が想像以上に困難な状況では、授業が少なく結果として単発になる恐れが高かったため、年間を通して授業をシリーズ化し、授業の中で気付きを感じてもらえるよう工夫。
③導入時の高校生の状況に配慮する
高校と専門学校の連動を意識して展開するだけでなく、プログラムをどのような時期に実施するのか、また将来的な展開も考えて専門高校と普通高校への導入を分けて考えるなど、学年や学期、学校(学科)の種別ごとにきめ細かく導入方法を検討するようにした。

以上の経緯によりプログラム開発の優先順位を変更し、令和4年度は「職業を理解するための授業」を実施し、教材制作に取り組んだ。
①「職業を理解するための授業」実施
対象:沖縄県立具志川商業高等学校リゾート観光科2年生
実施授業(3回)
・7月11日 ブライダル・ホテルの仕事(32名)
・10月24日 語学・国際ビジネス(33名)
・1月30日 空港の仕事(34名)
授業後に、「職業の内容」、「必要な知識や資格」、「職業の適性」、「専門的な勉強の学び方」の4項目について理解度を5段階で評価してもらい浸透具合をはかった。目標値3.5に対し、実績値は4.79と非常に高い評価が得られた。

②「職業を理解するための授業」教材開発
1.実際に高校教員が授業をおこなうための教材
・カリキュラム
・シラバス
・教諭指導書
2.動画教材(職業図鑑・先輩インタビュー動画)
・空港系(グランドスタッフ)
・空港系(グランドハンドリング)
・ホテル系
・ブライダル系
・トラベル系(旅行社)
令和5年度に向けて~課題と取り組み
令和4年度事業を通じて、大きくふたつの課題が見えてきた。

①高校とのさらなる連携強化
授業時間を確保し授業内容を充実させるなどプログラムを推進するためには、窓口となる高校教員だけでなく、多くの教員の理解と支援が必要である。
②連携プログラムを受講した生徒・学生の活躍の場の確保
観光業界が抱える人材不足・希望者の減少といった課題には中長期的に取り組んでいかなければならない。高校入学前の中学生への魅力発信や就職後の卒業生への支援なども並行して取り組んでいく必要がある。
以上の課題を踏まえ、令和5年度は以下に重点的に取り組んでいく。

①学校・企業・行政の実務連携強化
窓口以外の高校教員への積極的情報発信をはじめ情報の共有、具体的な課題解決の検討、プログラムの実行を連動させながら、連携を強化して事業を進める。
②観光業界活性化に向けての取り組み検討
若者世代へ向けて、観光業界の魅力を発信するプログラムを作り上げ、あわせて学校、学生・生徒、保護者の声を企業へ情報伝達する仕組みを作っていく。
具体的には、次の3つの取り組みを実施する。

①キャリア構築初期プログラムの開発
高校1年生向けに、「社会参加意義」や「働く喜び」を感じてもらうプログラムを準備し、具体的な職業の選択ができるよう連動をはかる。
②動画教材職種の拡充
高校生のキャリア構築支援をおこなうため、先輩インタビューを中心とした動画教材の拡充をはかる。
③プログラム導入高校の拡充
プログラムを専門高校だけでなく一部普通高校でも活用してもらうよう事業を進める。
from "プログラム" - Google ニュース https://news.google.com/rss/articles/CBMiRmh0dHBzOi8vcHJvamVjdC5uaWtrZWlicC5jby5qcC9icGkvc2VtaW5hci8xOS9qbWV4dDIwMjIvamlyZWkva2JjcmVzby_SAQA?oc=5
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