米Appleは2021年11月、「セルフサービス修理」プログラムを発表しました。純正部品を購入すれば壊れたiPhoneの修理をユーザー自身で行えるという内容です。
Appleは、米国では2019年から認定修理サービス業者が純正部品や修理マニュアルなどを利用できる「Independent Repair Providerプログラム」を実施しており、2021年3月にはこのプログラムが日本を含む200カ国以上に拡大されています。総務省のヒアリング調査によると、2022年1月の時点で、日本でも数社の独立系修理業者が認定を受け、純正部品による修理を行っています。ここからさらに一歩踏み込んだのが、セルフサービス修理プログラムです。
2022年4月27日(現地時間)から米国で実際に利用できるようになりました。専用のオンラインストアで機種を選択し、修理箇所を選ぶと必要なパーツが表示されます。修理に必要な専用ツールも販売されていますが、各機種の修理に必要な全てのツールが入ったTool Kitを49ドルで1週間レンタルするオプションも提供されています。いまのところ米国のみですが、2022年後半には欧州など他の国にも拡大される予定です。
こうしたユーザーによる修理を認める動きの背景には、「修理する権利」に関しての盛り上がりがあります。修理する権利とは、ユーザーが購入したものは、ユーザー自身を含め、ユーザーが選んだ方法・業者で修理できるべきであるとするもの。従来、スマートフォンなどの製品は、メーカーの正規サービスプロバイダーでしか修理できないことが多く、これが市場競争を阻害しているとの考えが主流になりつつあります。
これを後押しするように、米国のバイデン大統領は、修理する権利についての新たなルール作りを推奨することを含む「米国経済の競争促進に関する大統領令」に署名。これを受けてFTC(連邦取引委員会)では、修理する権利に取り組むことを全会一致で可決するなど、修理する権利についての動きが活発になっています。
なお、ユーザーによる修理に関しては、Appleだけでなく、GoogleやSamsungなども一部認める方向に動いてきています。Googleは4月8日(現地時間)、米国でスマートフォンを含む各種電子機器の修理情報提供やパーツ販売を行っているiFixitと提携し、米国、英国、カナダ、オーストラリアおよびEC諸国においてPixelの修理部品販売を2022年の後半から開始すると発表しました。同じく、Samsungも3月31日にiFixitと提携し、修理パーツや修理ガイドの提供を発表済みです。ちなみにMotorolaは一足早く、2018年にiFixitと提携し、部品の提供を行っています。
こうして盛り上がっている「修理する権利」、日本での展開も期待したいところですが、残念ながら日本ではやや事情が異なります。というのも、日本には「技適の壁」が存在するためです。
日本国内で電波を発する機器を利用するには、技術基準適合証明(技適)を受ける必要がありますが、技適マークの付いた機器を改造した場合には技適が無効になります。メーカーや認定修理業者での修理は当然問題ありませんが、現在の法定では個人で修理すると改造扱いとなり、そのまま使用すると違法となる可能性が高いのです。このため、各メーカーから修理パーツの提供が開始されたとしても、日本では個人での修理は行えないということになりそうです。
ただ、総務省が2020年から実施している電気通信市場検証会議に付属する「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)」の第25回(2022年1月18日開催)において、この修理する権利についてわずかながら取り上げられました。一応、問題として認識はされているようなので、今後、状況が変わっていく可能性はありそうです。
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