対局中の和服姿から一転、薄いブルーの半袖シャツ姿で会見に臨んだ藤井二冠は、約2カ月半にわたるタイトル戦の連戦をようやく終え、リラックスした表情。タイトル獲得の実感を「王位戦は子どものころに、控え室にうかがって勉強させていただいたことがあった。そういう棋戦でタイトルを獲得できたのは感慨深いなと思います」と穏やかに語った。
前夜は午前0時ごろ就寝し、6時半ごろに起床したという藤井二冠。その前日、1日目を終えた日には、「封じ手の日は、10時ごろに寝ていました」と話した。藤井二冠が選んだ封じ手は、自身の飛車と相手の銀を交換する、プロの常識からも外れた決断の一手。しかし、一度決めてしまったからには腹をくくり、しっかりと睡眠を取って疲れを残さない方を選ぶという、18歳にして恐るべき勝負師の強心臓ぶりを垣間見せた。
究極の勝負師はまた、究極の求道者でもあった。二冠を達成した直後、ホテルの自室に帰って両親や師匠に電話で報告すると、「1時間と少しぐらい」自身の将棋を振り返った。さらに、同日行われていた王将戦二次予選の永瀬二冠−久保九段戦の中継をチェック。今年度、唯一挑戦の可能性を残している王将戦だけに、自身が待つ挑戦者決定リーグに入ってくる相手の研究にまで、すでに余念がなかった。
その王将戦で挑戦し、奪取に成功すれば、最年少での三冠と九段昇段も達成することになる。「強い方ばかりなので、しっかり戦えればなと」と意気込みを示しつつ、「まだまだ実力を高めなければいけないのかと思いますし、王位戦で新たに見つかった課題もありますので、そういったところを高めて上を目指して行ければなと」と、具体的な「冠」には、これまで同様に意識を示さなかった。
22日には東京で「第3回AbemaTVトーナメント」の決勝戦があり、愛知県の自宅に帰るのはその後になる。やりたいことについて問われると、「まずは、昨日の対局についてじっくり振り返られればと思っています」と即答。将棋以外で…との問いには、少しはにかみながら「パソコンを1台組みたいなとは思います」と、ようやく令和の18歳らしい素顔も見せた。
二冠を達成した自分へのご褒美についても「王位・棋聖を獲得できたのは、自分にとってこの上ない結果。自分でご褒美というのはあまり考えていません」とニッコリ。すでに“レジェンド”の域に達した若武者にとっては、二冠もまだまだ通過点に過ぎない。
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August 21, 2020 at 08:01AM
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