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社員教育プログラムの数は少ないほどよい 効果的な学習を促す2つの戦略 | 人材採用・育成|DIAMOND ハーバード ... - DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

社員教育プログラムの数は少ないほどよい

Yaroslav Danylchenko/Stocksy

サマリー:多くの従業員は、会社から提供される膨大な数の学習プログラムに振り回され、どこに焦点を当てればよいのかわからない状況に陥っている。いまこそ、行動科学者の間で長年知られていることを思い起こす必要がある。そ... もっと見るれは「少ないほどよい」ということだ。本稿では、プログラムの数が少ないほどよい理由を明らかにし、よりインパクトのある学習コンテンツを従業員に提供するための戦略を概説する。 閉じる

従業員は膨大な学習プログラムに圧倒されている

 園芸の初心者が害虫問題の解決策を一つだけ探しているとしよう。アドバイスをもらおうと園芸店を訪れる。すると店員は、わかりやすい助言をするのではなく、スプレーやトラップ、オーガニックの調合剤などを山のように薦めてきた。選択肢の多さに圧倒された園芸家は、店に入った時よりも混乱して店を出る。

 多くの従業員がスキルアップを目指す時、まさにこうした気持ちになる。自分が直面している具体的な課題とはよくても関連性が薄いとしか感じられない、理解のできないコンテンツの海の中を漂流するようなものだ。

 筆者らはこの現象を「何でもかんでも問題」と呼んでいる。従業員は膨大な数の学習プログラムのカタログに振り回され、内容が盛りだくさんでどこに焦点を当てればよいのかわからないことがあまりに多い。また、そうしたプログラムに関連して、従業員には厳選されたものではなく、網羅的なリソースのリストが提供される。「100のコースに、70のハイパーリンク、ツールキットは35個。カフカ的悪夢のようにループする多数の内部サイト。さらにはソートリーダーのビデオに、ネット上の無秩序なブログ、本の推薦まである」

 私たちはいま、ウェブサイトやアプリ、ソーシャルメディアからパーソナライズされた体験を期待するが、学習プログラムや関連コンテンツに対する組織のアプローチは、一般的に従業員を圧倒するようなもので、見境がなく、何よりも非個人的だと感じられる。学習オプションの過多が常態化しているような状況のため、いったん立ち止まり、行動科学者の間では長年知られていることを思い起こす必要がある。「少ないほどよい」ということだ。本稿では、その理由を明らかにし、よりインパクトのある学習コンテンツを従業員に提供するための戦略を概説する。

学習プログラムは「少ないほどよい」理由

 ビジネスリーダー、ラーニングデザイナー、プログラムのスポンサーは皆、学習プログラムに同じものを求めている。パフォーマンスの向上と労力、資金、そして(おそらく最も貴重な)従業員の時間の投資を正当化できることだ。

 従業員にコンテンツを提供しすぎると効果が薄れ、彼らがコンテンツをほとんど、あるいはまったく消費できなくなる理由は多数ある。そのいくつかを解説しよう。

変化を求めすぎている

 あなたは、よりよいリーダーになりたいだろう。それならば、より共感的で、創造的で、人を奮起させ、戦略的で、包摂的で、実行を重視し、目的志向で、アジャイルで、レジリエントでなければならない。これらはすべて有効かつ重要な資質であることは間違いないが、ある課題に対して「すべて」を変えることを推奨すると、必然的に「何も」変わらない。誰しも重要なトピックに関するプログラムを受け、こう考えたことがあるだろう。「いま、自分が力をそそぐべき最も重要なことは何だろう」と。多くの場合、それを見極めることは不可能だ。

すべてが重要なら、何も重要ではない

 近年は提供されるものに対して、吟味されていて、適切なものであるという期待がいっそう大きくなっている。プログラムが「重要な」ことを明らかにするにつれ、従業員は、必要とされる圧倒的な量の変化に適応する自分の能力に対して、自信を失い始める。それが離職やモチベーションの低下につながる。

選択肢を与えすぎている

 著名な行動経済学者らによる長年の研究で、選択肢は多ければ多いほどよいわけではないことが明らかになっている。たしかに、人は選択肢があることを好むが、注意深く厳選されたわずかな選択肢(たとえば、プレゼンスキルを向上させる方法は30ではなく3つ)のほうをはるかに好む。選択肢が多すぎると、すぐに嫌悪感を抱く。レストランで「あらゆる食べ物」があるかのようなメニューを見たことがある人なら、わかるはずだ。

人々の信頼を失う

 あなたが新しい問題を抱えて筆者らのところにやって来て、「いつも」押しつけられているのと同様に膨大なカタログを差し出されたら、どう感じるだろうか。学習の専門家として筆者らは、積極的に耳を傾け、ニーズに応えることの重要性を頻繁に説いているが、「何でもかんでも」のアプローチでは、耳を傾けているようにも、ニーズに応えているようにも見えない。

使いこなすのに時間と労力がかかりすぎる

 学習システムは不便で、時代遅れで、使いにくいというのはよく聞く話だ。従業員は、簡単な検索とフィルタリングを期待するようになっているにもかかわらず、彼らに多くのことを提供しようという熱意が、彼らが本当に望み、必要とする一つのものを見つけることを困難にしている。その一つを見つけるのが難しくなることで、従業員はスキルアップに費やせるはずの時間を浪費してしまう。

適切な選択をするための人々の専門知識が不足している

 特定の問題に対して、専門家でない人が選択肢の中からどれが役に立つかを判断するには、どうすればよいのか。園芸の初心者に害虫駆除のための最適な組み合わせを見つける責任を負わせるのは、賢明ではない。学習ツールを提供するうえで「何でもかんでも」のアプローチは、まさにそれと同じことをしているといえないだろうか。

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