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東大 災害対策基礎プログラムを開講 - 東大新聞オンライン

 東大生産技術研究所(以下東大生研)の災害対策トレーニングセンター(DTMC)は5月31日から、災害対策の基礎事項を学べるプログラムを開講した。主に災害時に対策本部の運営を担当する自治体職員や、民間の危機管理に携わる人々などを対象としているが、誰でも受講が可能となっている。基礎概論は、全講座でおよそ23時間で受講料は33000円の設定。秋からはより実践的な内容を含んだ基礎演習が66000円で開講される。開講当日には駒場Ⅱキャンパスで開講式が行われた。

 日本で近い将来に、高い確率で発生すると予想されている南海トラフ地震や首都直下型地震の災害対策は、財政状況の変化などを踏まえるとこれまで以上に困難であると予想される。従来は有事の際は自治体からの公助が中心となってきたが、財政状況の厳しい自治体が多い中、自助や共助がこれまで以上に重要になってくる。

 今回開講されたプログラムは基礎概論と基礎演習の二つから構成されており、基礎概論で災害時の医療体制や経済的復興などの基礎的な知識を幅広く学ぶ。秋から開講される基礎演習では、災害のメカニズムなどの講義に加えグループワークや災害時を想定した様々な演習を通して、幅広い災害に対応可能な人材の育成を目標としている。

 開講式では、DTMCの目黒公郎センター長、東大生研の岡部徹所長らが挨拶。目黒センター長は「今後はただ産学間でこうしたプログラムを通して人材育成等で連携していくだけでなく、将来的には補完し合えるようになっていきたい」とコメントした。岡部所長は海外大学での災害対策センターの実績にも言及し「今後は国際的な交流も体系的に行っていきたい」と語った。また、藤井輝雄総長もビデオメッセージで、昨年発表した東大の新たな方針であるUTokyo Compassの内容に関連して「今後防災を通じて産学官が連携していくうえでは、対話が重要な接着剤の役割を果たしていくことになる」と語り「(DTMCのプログラムが)学知の素晴らしさを外部に広く伝えていく場にして欲しい」と締めくくった。

 式の終盤では、東大生研の伊藤哲朗客員教授による基調講演が行われた。過去に五つの内閣で内閣危機管理官の職務を担当した伊藤客員教授は、東日本大震災の最前線に立った際の経験について触れつつ「日本は災害は多く経験の蓄積はあるものの、マニュアルや法整備は一度災害が起こり犠牲者が出てからの対応になってしまっている」と指摘。「いつどの自治体で災害が発生してもおかしくないという意識を共有しつつ、危機を事前に対策するという危機管理を行なっていく必要がある」とし「東大の今回のプログラムが役割を果たしていくことを期待する」と述べた。

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