農産物の産直サイト「ポケットマルシェ」を運営する雨風太陽(岩手県花巻市)が生産者のユニークな取り組みを表彰する「ポケマルチャレンジャーアワード2021」で、栃木県真岡市寺内のナス農家、賀川元史さん(44)の考案した「ナスの苗里親プログラム」が特別賞を受賞した。自身のUターン就農経験を基にした、育苗キットを使って自宅でプチ農業体験ができるアイデアで、「新規就農につながる一歩になれば」と受賞を喜ぶ。
プチ農業体験
ポケットマルシェは約6600人の農家や漁師などと消費者を直接つなぐプラットフォームで、同アワードは地域や一次産業などの抱える課題解決を図る生産者らの取り組みについて、インパクトやユニークさを踏まえて表彰する。第1回目の今回は9都府県の10人が受賞した。
賀川さんが考案したのは消費者が家庭で1カ月間、ナスの苗を〝里親〟となって育てた後、農家が引き継ぎ、最終的に立派に成長して収穫されたナスを食べてもらうプログラム。〝里親〟が育てたナスと農園で収穫された旬の野菜セットが6~9月に月1回届く。
「LINE(ライン)を活用して作物の成育過程も学べ、農業の面白さ、大変さを体感してもらえる」(賀川さん)のが魅力で、価格は9750~1万2000円。今年分の販売は終了しており、来年分の予約を受け付けている。
「魅力ある農業を」
栃木県真岡市は元々プリンスメロンの裏作としてナス栽培が始まり、今や作付面積がイチゴと並ぶ名産品で、市場での評価は高いという。賀川さん一家のナス栽培は祖父の竹四郎さんが始め、今は賀川さんと父の邦男さん(69)と母の愛子さん(68)、妻の亜矢さん(44)の4人で汗を流す。約4ヘクタールの農地で年間約50トンを出荷する。
地元の栃木県立真岡高校から東北大工学部、同大院で学んだ賀川さんは当初、大手プラント会社に17年間勤務し、プロジェクトエンジニアとして海外を飛び回っていたが、40歳を目前に「自分の可能性を試したい」と就農を決意した。少子高齢化による就農人口の減少や学校の統廃合など、衰退していくふるさとの現状に危機感を抱いたという。
立ち上げた農園の名前は「ハート」と「リッチ」をかけた造語で「Heartich Farm(ハーティッチファーム)」。「稼げて心も豊かになる、そんな魅力ある農業ができるはず」との思いを込めた。
3年後の法人化へ
ナスの販路は現在、農協への出荷がメインだが、初年度からポケットマルシェなどを活用した個人、飲食店向けの直接販売も開始。会社員時代に数千億円規模のプロジェクト遂行で培った管理能力やコミュニケーション力なども生かして販路を広げ、4年目となる今年(1~12月)の直販売り上げは、初年度比約6倍の300万円を見込む。
賀川さんは今後、微生物や菌の力を生かしたデータ重視の土づくりなども進め、3年後の農業法人設立を目指す。「農業を目指す人が集まり、独立していく仕組みを作りたい」と意欲を燃やしている。(石川忠彦)
from "プログラム" - Google ニュース https://ift.tt/oc6xG9R
via IFTTT
Bagikan Berita Ini
0 Response to "栃木・真岡のナス農家「ナスの里親プログラム」で表彰 - 産経ニュース"
Post a Comment