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「完成された9人」になったNiziU 良い意味でも悪い意味でも没個性に? - livedoor

NiziU、待望のデビュー!

デビュー前にしてNHK紅白歌合戦への出場が決定。プレデビュー曲の『Make you happy』のYoutube再生回数は日本の人口も超える1憶6000万回以上と、異例の早期大ブレイクぶりが話題となっている女性アイドルグループ・NiziU。韓国の大手芸能事務所が手掛ける初の日本人女性だけのグループということもあって、日本中から熱視線が注がれている。

が、韓国のアイドル事情は日本とは決定的に違う点がある。それは、パフォーマンス重視でそれぞれのキャラクター売りをほとんどしないこと。果たしてこの手法は日本で受け入れられるのだろうか。

実際、オーディションを終えて久々にメディアに登場したNiziUを見て、ファンからは「優等生でつまらなくなった。オーディションのときのほうが良かった」という声も聞かれる。そこで韓国事情に詳しい記者や、実際にNiziUをインタビューしたライターたちに取材をおこなった。そこから見えてきた、NiziUの活躍可能性指数とは……?

その前に、まずはNiziUというグループについて簡単に説明しておきたい。NiziUは韓国の大手事務所・JYPエンターテイメントの社長であるパク・ジニョン氏が、厳しいオーディションを経て選んだ9人の日本人女性グループだ。

厳しいオーディションを経て選ばれた9人の女の子に誰もが夢中になった/NiziU公式Instagramより

「Nizi Project」と名づけられたそのオーディションの模様は、約1年に渡って逐一放送。「自分自身と戦って、毎日自分に勝てる人が夢を叶えられます」「肩の力を抜いても、十分あなたはすでに特別な子です」など、パク氏の胸に刺さる数々の名言が飛び出したこともあって、多くの視聴者が練習生たちに強く感情移入。熱く見守り、応援し、このオーディション自体が社会現象となったのだった。

そんな厳しいオーディションを勝ち抜き選ばれたのが、12月2日に晴れて正式デビューする9人というわけだ。メンバーそれぞれの性格、個々の魅力、そして心の強さや良さまでファンは知り尽くしていると言ってもいいだろう。

「完成された9人」を見て思うこと

それだけにファンたちは、数カ月の準備期間を経て再登場した“完成された9人”を見て、「つまらなくなった」と感じてしまった部分もあったようだ。この9人の変化について、韓国事情に詳しいインタビューライターに聞いてみた。

「韓国のアイドルグループは、一糸乱れぬクオリティの高いダンスパフォーマンスと高い歌唱力が基本です。それゆえどのグループも厳しく生活を管理され、練習漬けの日々を送り、デビューしたからには完璧なパフォーマンスしか披露しません。日本生まれのアイドルのように、“愛嬌”というキャラでカバーすることは絶対ないのです。

ただそれだけに、どうしてもメンバー全員が“均一”にはなってしまいます。パフォーマンスだけでなく、ビジュアルも、発言も……。実際、韓国のアイドルグループにインタビューをすると、『余計なことは言わない』という印象があります。恋愛系のことは絶対言わない、話に登場する人物もメンバーか家族だけ。

とにかく自分のバックグラウンドは見せないんですよね。NiziUメンバーの対応にも、そういった“教育”は感じました。日本のアイドルは、差し入れのお菓子を食べながら雑談のように無防備にお喋りする子が多いので、そこは大きく違うなと感じます」

この“教育”は、社会人としてのマナーをきちんと身に着けられる一方で、個々の良さが失われる一面もあるようだ。

「これまで韓国のアイドルグループにインタビューをして『面白いキャラ!』と印象に残ったのは、TWICEのサナとかIZ*ONEの宮脇咲良とか、日本人メンバーばかり。もちろん言葉の壁があるからかもしれませんが、実際、IZ*ONEのメンバー・矢吹奈子は、オーディションのとき、一緒にパフォーマンスする仲間を実力で選ばず『可愛いから』という基準で選び、韓国視聴者を唖然とさせていました。

IZ*ONE宮脇咲良は、HKT48、AKB48を兼任。トップアイドルとして人気絶頂期に韓国に渡りIZ*ONEとして再デビューした/IZ*ONE公式Instagramより

それくらい韓国のアイドルは、自由な部分がないんだなと感じたものです。いい意味でも悪い意味でも没個性になるので、たとえばネガティブキャラで大ブレイクした元HKT48の指原莉乃のような存在は生まれないでしょうね」

日本と韓国、取材現場も大きく違う

別のライターにも聞いてみたところ、その取材現場の違いにも驚くという。

「成長過程も愛される日本のアイドル市場とは違い、韓国は完成度が命。それだけに雑誌撮影の力の入れようも、日本のアイドルとは比になりません。スタッフの数は、大袈裟な話ではなく日本の20倍ぐらいいる。

日本のアイドルグループだとマネージャーすら来ないことも多いのですが、韓国は会社の重役からボディーガード、果ては何の役割なのかよく分からない人まで、スタジオ中に人が溢れ返っています。それくらい、外に発表するものの完成度に注意が払われているということでしょう」

11月27日「ミュージックステーション」でデビュー曲「Step and a step」を初披露したNiziU /NiziU公式Instagramより

そんな環境で常に仕事をしているだけに、韓国アイドルたちのプロ意識も想像以上に高いようだ。

「皆メイク中も背筋をピーンと正して、ハキハキ笑顔でインタビューに答えてくれます。それだけでなく、メイク直し中や着替え中にスマホをいじったりする人もいません。日本の某男性グループを取材したときは、ずっとゲームをしていてインタビューをなかなか始められなかったこともあるのに……。

韓国ほど管理しろとは言いませんが、事務所ももう少し教育しては?と思ったものです。ただ韓国アイドルの場合、それゆえ息苦しくなってメンタルを病む人が多いのも事実。正直、パフォーマンスは圧倒的に韓国が上だと思いますが、もし自分の子供がアイドルになりたいと言ったら、日本で活動してもらうほうが安心ですね……」

実力主義のなかでどう闘っていくか

とはいうものの、努力は裏切らないようだ。今や韓国アイドルの実力は、韓国内を超えて世界で広く認められている。某音楽ライターは次のように語る。

「昨今はBTSやNCT127のように、全米で活躍しているグループも少なくありません。韓国音楽界はずっと以前から世界を見据え、アイドルも実力重視。その音楽にも世界のトレンドを積極的に取り入れてきました。

BTSは高い歌唱力とパフォーマンス力が世界でも評価され、第63回グラミー賞にノミネートされた/gettyimages

日本の音楽は世界に遅れを取っていると言われる中、ワールドワイドな韓国音楽カルチャーに、初めて純日本人グループが放り込まれた。それがNiziUです。

僕もNiziUのメンバーを取材しましたが、やはり『韓国のグループだな』と感じましね。パフォーマンスレベルの高さだけでなく、努力していることをためらいなくアピールしてきたり、それぞれが強い目的意識を持っていたり、また世界を意識している点なども。

だから音楽性もビジュアルもこれまでの日本のアイドルグループにはなかった感じですが、そこは皆日本人。日本語を話すし育った国も同じなので、親近感は抱きやすい。ダンスや音楽性は世界レベルだけど、日本特有の個性もあるという、両国の良いとこ取りのグループに成長すれば非常に楽しみですよね」

彼女たちの個性が失われたように感じたのは、それだけ実力がアップしたからなのかもしれない。11/25に公開スタートしたデビューシングル『Step and a step』のユーチューブMVでは、活動休止を発表したメンバー・ミイヒとの強い絆を見せ、多くのファンが涙。早くも強烈なインパクトを与えている。この若いグループが今後どう変化していくのか、しばらくは様子見というところだろうか。

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