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逃げ恥再放送 ヒットの訳考察 - auone.jp

『逃げるは恥だが役に立つ ムズキュン!特別編』(C)TBS

 未放送シーンなどが加わった『逃げるは恥だが役に立つ ムズキュン!特別編』(TBS系)は、初回11.0%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)の高視聴率を獲得。Twitterトレンドワードで「逃げ恥」などの関連ワードが日本と世界で1位を記録するなど、再び大きな盛り上がりを見せている。同作は、契約結婚した2人が同居するなかで、心の距離も縮めていくというラブコメ物語。部屋の中で繰り広げられる多くの“ムズキュン”シーンは、“おこもり”が続く視聴者の心境にもマッチするだろう。

■リビングや玄関…、部屋中で繰り広げられる“ムズキュン”シーンの数々

 同ドラマは、就職にことごとく失敗してきた森山みくり(新垣結衣)と、自称「プロの独身」のサラリーマン・津崎平匡(星野源)が契約結婚をすることから始まるラブコメディ。2016年10月期の再放送が、今再び盛り上がりを見せている。

 コロナ禍で決まった再放送だが、エンディングの「恋ダンス」を出演者がリモートでステイホーム感あふれるラフなスタイルで披露したり、SNSをやらない新垣結衣が“シェア”を呼びかけたりと、自粛生活が続くなかでのユニークな工夫もファンを楽しませている。

 そもそも『逃げ恥』は、契約結婚した2人が同居するなかで、次第に心の距離も近づいていくという物語。基本的に家の中でのエピソードが多く、そこで恋が発展していく。

 平匡(星野源)が風邪で寝込んでいるシーンを別室でのぞき見したみくり新垣結衣)が、「普段クールな男が弱ってる姿、萌える」とつぶやいたり(1話目)、新婚の空気を醸し出すために「火曜はハグの日」を設定して玄関でハグをしたり(第5話)、そしてエンディングの「恋ダンス」まで、多くの印象的なムズキュンシーンが、玄関やリビングで繰り広げられるのだ。

 また、料理シーンも多く、TBSは作中に登場した料理のレシピをクックパッドで公開しており、現在はそれを再びTwitterで拡散するなどの施策も行っている。再放送ながら、臨場感を持って作品を楽しめる工夫が満載だ。

 コロナ禍で窮屈な毎日を過ごす視聴者にとっては、そうした“おこもり感”も、今の心境にフィットしているのかもしれない。

■「医療・刑事もの」ラッシュから一変、ドラマでも「平穏な日常」願う視聴者

『逃げ恥』のほかにも、『過保護のカホコ』(日本テレビ系)、『愛していると言ってくれ』(TBS系)、『大恋愛』(TBS系)などの再放送が注目を集めている。前クールの1月期は、医療・刑事ドラマが占めるなか、『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)がプライム帯唯一の恋愛ドラマだった。

 その医療・刑事ドラマのブームが一変している。とくに医療ドラマについては、今まさに医療現場が危機に瀕しているなかで、放送しにくい状況であることが考えられる。

 また、ここ最近の医療ドラマは、「職業もの」の要素が強くなっており、『ラジエーションハウス』(2019年4月期/フジテレビ系)の検査技師、『アライブ』(2020年1月期/フジテレビ系)の腫瘍内科医など、これまで語られなかった職種の物語が描かれていた。コロナと戦う医療従事者たちを応援する気持ちが真っ先に浮かぶ視聴者に向けた作品としては、なかなかそぐわない状況でもあるだろう。

 多くの人が平穏な日常を望んでいる。そんな中で、ほっと一息つきたいという視聴者の心理に寄り添う作品としては、元気をもらえたり、励ましあったりできる作品が求められるのは当然の流れだろう。

『逃げ恥』は、明るいコメディの中に、就職難や派遣切り、仕事におけるやりがい搾取や男女間の愛情の搾取、LGBTといった社会派なテーマをさりげなく、丁寧に描いている。そして、そうした状況下でも、登場人物たちはみな明るくポジティブで、何事にも一生懸命だ。

 物語の展開が読めるからこそ、元気なパワーを感じたい。『逃げ恥』再放送のヒットは、そんな視聴者の想いも考えられそうだ。

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