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手越祐也に見る30代「転職世代」の葛藤…ジャニーズとのスピード感のズレに限界 - Business Insider Japan

手越祐也

手越祐也さんの会見は約2時間に渡った。

撮影:西山里緒

6月23日に神田明神ホール(東京・千代田区)で開かれた元NEWSメンバーの手越祐也さんの退所会見。その模様は手越さんのYouTubeチャンネルでも生配信され、24日午前2時時点で再生回数は650万回を超えた。

「ジャニーズにいると…」吐露した“スピード感”のズレ

手越祐也

会見の最後には立ち上がり、ファンへメッセージを送った手越さん。

撮影:西山里緒

まず退所の理由について。一部では新型コロナウイルス感染拡大期の外出を週刊誌に報じられたことに端を発すると報じられていたが、手越さんはこれを否定。

実は、2020年3月時点ですでに事務所側に退所の意向を伝えていたと明かした。

そもそも、手越さんが退所を考えるようになったのは、5~6年ほど前からだったという。「自分がやりたいことはあまりに多種多様」であり、ジャニーズではその実現が難しかった旨を語った。

「ぼくはスピード感を大事にしたい。ただ、ジャニーズにいると、持っていったものが具現化されてファンのみんなに届くのが、10カ月、1年とかかっちゃってたんですよね。アイドルにとっての30歳から31歳、32歳って一分一秒が本当に大切。僕の理想のスピード感との開きが出てきてしまった」

今年、NEWSは全国ツアー「STORY」を予定し、メンバーとの退所の話し合いを始めたのも、ツアー初日のゲネプロの後。 ツアー終了後のタイミングで退所を予定していた。ところが、昨今のコロナ禍でスケジュールが大きく変わってしまったという。

ジャニーズのネット進出は?

これまでジャニーズ事務所は、インターネット上でのコンテンツ配信に慎重な姿勢で知られていた。

その風向きが変わったのは2017年ごろ。ウェブにも写真掲載を掲載を認めるようになり、さらにはNetflixやLINE LIVE、Instagram、YouTube、SHOWROOMなど、多様なプラットフォームで所属タレントが番組を持つようになった。

2019年3月からはジャニーズJr.の公式エンタメサイト「ISLAND TV」でライブ配信するなど、自社プラットフォームの構築にも積極的だ。

2019年末からは嵐の活動休止を追ったドキュメンタリー「ARASHI's Diary -Voyage-」がNetflixで独占配信されており、大きな話題を呼んだ。

退所組からの影響は「1ミリもない」

嵐

2020年には嵐が活動休止を発表している。

撮影:今村拓馬

木村拓哉さんや山下智久さんがInstagramの個人アカウントを保有し、発信するようにもなっている。

ただ、所属タレントが自らSNSを開設し、メッセージを発信する例は極めて限られており、 ジャニーズ事務所がSNSでの情報発信に慎重な姿勢であることが伺える。

会見でも、手越さんはこう語った。

「今の時代、SNSは影響力・発信力という点において切っても切り離せないもの。影響力をこれ以上持つためには、やっぱり個人で色々な所に出て勝負して、手越祐也という名前を刻んでいくしかない」

ここ数年を振り返ると、30代半ばに差し掛かったタイミングで、個人としてのキャリアをもっと積みたいとして、ジャニーズ事務所を退所するタレントもいる。

元関ジャニ∞の渋谷すばるさん(2018年末退所)や錦戸亮さん(2019年9月退所)、そして2014年に退所し、2020年からは錦戸さんとのユニット「N/A」を結成した元KAT-TUNの赤西仁さんなど「退所組」の活躍も目立つ。

手越さんは「先にジャニーズを抜けた方々に影響を受けたというのは1ミリもない。完全に僕の意思」としつつ、「夢を持って抜けた方々はリスペクトしている」と、先輩たちへの尊敬の思いを語った。

手越さん「誰かが矢面に立って言わないと」

手越祐也

会見後、手越さんは「OPENREC」を使ってライブ配信を行った。

画像:OPENREC

事務所はタレントを“家族”のように守る。その代わり、タレントは事務所に“忠誠”を誓う……。

いまだに芸能界ではこうした慣習が根強く、タレントが事務所から独立した場合はそれがトラブルに転じ、テレビなどの表舞台から姿を消して「干される」ことも珍しくなかった。

だが、少しずつではあるが、時代は変わりつつある。2019年7月には、公正取引委員会がジャニーズ事務所を注意したことが報道された。退所した元SMAPのメンバー3人のテレビ番組への出演を妨げるような働きかけがあった場合、独占禁止法違反につながる恐れがあるとの内容だ。

令和時代は、個人が人生のキャリアステップを自由に描ける時代だ。

それは芸能界に限った話ではない。転職・求人サービス「doda」の調査「転職成功者の年齢調査(2019年上半期)」によると、転職成功者の平均年齢は31.7歳だった。手越さんは現在32歳、ドンピシャの“転職世代”だ。

「僕は15歳からこの業界。いきなり退所となったら、無職になってしまう。事務所を出るのはやっぱり怖い。15歳からジャニーズ、16歳からNEWSとして活動してきて、それしか知らないんですよ」

15歳から一つの組織に所属し、働いてきたキャリアを考えれば、外の世界やこの先の人生に思いを至し、これまでとは違うレールを走る選択もあるだろう。それが本人の成長やキャリアの広がりに繋がる可能性は十分ある。

手越さんは会見後のOPENREC.tvでの配信で、こんな言葉を述べている。

「(退所したら他のジャニーズのメンバーと絡めないのではと心配する声に対して)絡みたかったら絡めるんじゃないの?わからないけど、俺は全然絡みたいよ、特にNEWSとは。今の芸能界の規定概念を変えたい。弱い者いじめ多すぎない?誰かが矢面に立って、矢が刺さったとしても、言える人がいないと変わらないじゃん」

ジャニーズでは異色の奔放なキャラクターで知られた手越さんの事務所退所は、芸能界における「個人と組織」の関係性を今一度、見直すきっかけになるのだろうか。

(文・写真、西山里緒)

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June 24, 2020 at 07:39AM
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