ここ最近、SNS上で「自然派育児」をめぐる炎上が後を絶たない。子どもが発熱した際、キャベツの葉で頭を包むと毒素が排出されて熱が下がるという「キャベツ枕」、防腐剤の悪影響を避けるために煮沸消毒した容器、水、塩を用いて作るという「手作り目薬」など、いわゆる「自然派ママ」が発信する情報に関し、ネット上で「医学的根拠がない」「危険性が高い」と指摘されるケースが増えているのだ。
“トンデモ情報”の拡散を食い止められたという点で、炎上は功を奏したと見ることもできるが、そもそもなぜこうした炎上が増えているのだろうか。今回、「パパ小児科医(ぱぱしょー)」の名前で、育児情報サイト「ぱぱしょー.com」を運営し、Twitterやインスタグラムでも情報発信を行っている三重県伊賀市小田町「ゆめこどもクリニック伊賀」院長で小児科医の加納友環先生に話をお聞きした。
「山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故」の衝撃
「2児の父親である小児科医」として、日々ネット上で育児情報を発信している加納先生。医師としては、やはりネット上で間違った医療情報を目にすると、「歯がゆい気持ちになる」そうだ。
「例えば、ガン患者さんが化学療法を拒否して、『この水を飲めばガンが治る!』といった触れ込みの民間療法などにハマッていく様子を見ると、どうにか標準治療に目を向けてくれないかと思うものです」
小児科分野においては、過去に、助産師が新生児に独自の治療を施したことにより、死亡事故につながってしまったケースもあるという。
「最も有名なのは、2009年の『山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故』。標準的な予防を行っていれば防げた事故だっただけに、衝撃を受けました」
新生児は、血液の凝固因子を生成するために必要な「ビタミンK」が欠乏傾向にあり、出血性疾患(脳出血や消化管出血)を防ぐ目的として、ビタミンKを摂取させなければいけない。しかし、この事件では、助産師が「ホメオパシー(自然治癒力に働きかける治療法)」に基づき、ビタミンKの代わりに「レメディ」と呼ばれる薬(砂糖玉)を与え、それが新生児の硬膜下血腫につながり、死亡に至ったとされており、当時大きな波紋を呼んだのだ。
「実際に、日々の診察の中でも、偏った自然派育児を実践するお母さんに出会い、歯がゆさを覚えることがあります。例えば、ワクチンを接種しないことで感染を広げてしまうケース、抗生剤投与を拒否して重症の肺炎となり入院となるケース、ほかにもアトピー性皮膚炎で、標準治療をすれば改善が見込めるはずなのに断られてしまうケースなどです。そもそも治療を拒否される方は医療現場から足が遠のくものなので、『数』としては少ないほうですが、実際にはもっといると思います」
小児科診療ガイドライン〈第4版〉 ─最新の診療指針─
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March 07, 2020 at 02:00PM
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キャベツ枕、手作り目薬――「自然派ママ」炎上、「正義が悪を罰する構図」を小児科医が危惧するワケ - サイゾーウーマン
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